エーゲ海に面するフェティエというところに泊まって最終日の朝、タイミング的にはやっと合わせることができた。奇跡は続き、朝家族をホテルにおいて出られることができた。この幸運に感謝。
日の出前に、ポイントに立ち込む。

入水時に、竿も、ルアーも出で立ちも「釣れる感じ」のする気合入ったオーラを纏ったルアーマンが居たので話しかけたら、流暢な英語が帰ってきた。驚いた。
ブルーフィッシュは、出世魚で僕が知っているのはルファーとコファナだけど、あと、2つ3つ名前があるとのこと。
後で調べると、ヘダイは、30-50グラム前後をインチェリダキ、100グラム台をリダキ、100グラム後半をカバリダキ、そして300グラム以上をチュプラというようだ。
ブルーフィッシュも、チネコップ、ルファー、コファナ、スートゥカラと出世していくよう。釣り人なので、そのへんの定義は知っておきたい28-35cmが、ルファー。35センチ以上がコファナ。このあたりがフライのターゲットかと。50cm以上がSırtırkaraだという。
で大事な質問をその釣り人に投げる。
ブルーフィッシュ釣れますかの問に、「超~難しいよ」と。
ヨーロッパスズキ釣れますかの問に、「かなり難しいよ」と。
チュプラ(ヘダイ)釣れますかの問に、「運が良ければね」と。
質問が終わり、返す刀で驚く質問が飛んできた。
「日本人ですか?」
この質問はトルコでかなり稀。そもそも、トルコでは関西人が箱根の先は関東で、東京、横浜のイメージの違いは語れないことが多い。それとおなじで、トルコ人からすると、日本人、中国人、韓国人を見分けられることは、ほぼ無い。
その文脈で、韓国人かと聞かれることが多い。車、エレベーターエスカレーター、産業機械、韓国産業はトルコでかなり食い込んでいるので、エンジニアなど営業やら沢山いるのだろう。
そうですよ、日本人ですよの返答。
次の質問に更に驚いた。
シマノとダイワどっちがいい?
正直のけぞった。具体的な違いはしらないけど、自転車に過去乗っていたのでシマノが好きなので、シマノと答えると、大きな笑みで、俺もシマノーとリールを見せてきた。わはは。意図せず正解を引いた。
笑顔で、釣れますようにというと、おまもなーと。そして入水。
昨晩は中秋の名月。そして、ほぼ満月の月がエーゲ海に沈んでいくものを正面に見て、背中から朝日が登っていくという構図。
絵面が良い。釣れるともっと良い。
過去2日、ブルーフィッシュの気配はなかった。一度だけ、背中側を稲妻のような水柱が走った気がしたことがあったけれども、気のせいだったかもしれない。
ヨーロッパシーバスは、恐らく、何度かボイルしているっぽいけど確認はできておらず。
ということで、今日は鼻っからタイプIIIで底を取りながら、回遊魚が来たら投げて引っ張り、表層を狙っていく作戦。
こういうときに頼みの綱はやっぱりクラウザーだ。
引っ張っても、底を引きずってもこいつは働いてくれる。
なので、ルファー、レブレックが来たら引っ張り、普段は底をずるびく。
海面は穏やかな凪で、風は殆どない。潮は緩やかに湾内から外に向かって動いている。
しばらくして、食いが立つ。
ハゼがつれ、チュプラ(ヘダイ、リダキ)の手のひらサイズ、親指サイズ(インチェリダキ)が立て続けにかかる。普段はこれがクライマックスで携帯電話とカメラで撮るところだが、それどころでなくなった。

レヴレック(ヨーロッパスズキ)があたりでボイルし始めた。ボコボコではないにしろ、ボコッ、ボコっと射程距離ではないにせよ。回っている。
そして、彼方から稲妻のような水柱でなく、魚柱が近づいてくる。海面を稲妻が走る感じ。
言葉にあえて表すと、シュパーン、シュパーン、シュパーン。
シイラが海面を半分飛ぶように走るものより鋭く、海面を切り裂くように、水柱が立つ感じで、魚が海面を切り裂いて、その柱がすごいスピードで海面に立つ。
こんなスピードで捕食しているのであれば逃げられるベイトはまず居ないというか逃げ失せることは不可能。
ブルーフィシュだ!トルコ語ではルファー、60cmくらいだからコファナが10匹前後30m先を突っ走っていく。
こちらが自転車漕いで走っているところに、F1カーが眼の前を通って行った感じ。
この魚を取りに来たんだ!
と震えが来たけど、
formura 1 カーはすでに彼方に。
この小魚釣れ出して、ブルーフィッシュが抜けるまで多分ものの数分。2,3分のことだろう。5分は無かったとおもう。
6番ロッドにシンキングのタイプ3で、ショックリーダーは8ポンド。もし仮にかかったとして到底太刀打ちできる仕掛けではなかったものの、釣りたい魚が目の前をものすごいスピードで走り去っていったあとには、震えて立尽くすドン・キホーテフライフィッシャーがいるという構図になってしまった。
通えばいつか釣れるかも。
立ち尽くし、まだ武者震いがしばらく止まらない、ころへ妻から電話が。
子どもたち起きないからあと30分釣りしていいよと。
クライマックスをおえてしまっているけど、せっかくだから消化試合をこなして帰路についた。
また、近うちに来られればいいな。
おしまい。
RX100M5A, Photomatix Pro, Topaz Studio
HDR from 3 images, hand held